一般葬と直葬(葬式を行わない)との違い
まず、一般葬を行う場合と直葬を行った場合ではどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
一般葬の流れ
・臨終後 安置
・納棺
・通夜
・葬儀式・告別式
・火葬
・初七日法要
上記の流れで行う場合、3日は日数を要しますし、通夜や告別式の打ち合わせや段取りなど遺族にとってもやるべきことが多くなりますし、弔問客が多く訪れるので対応も行います。
直葬の流れ
・臨終後 安置
・納棺(24時間以上)
・参列者がお別れをする
・出棺後火葬
亡くなった後に24時間は火葬や埋葬をしてはいけないと法律で決められているため、24時間経過してから火葬を行います。
直葬の場合は故人の家族の他、生前に親しかった人のみに限られる事が多いです。
直葬では2日かかります。
葬儀は必ず行わないといけないという決まりはない
葬儀を行うのが一般的と考える人も多いので、葬儀をしないという選択肢は問題ないのか心配になるかもしれませんが、葬儀を行うという点については法的な決まりというのは特にありません。
以下は法的な決まりがあるので亡くなった後に必要な手続きとなります。
・死亡届の提出
死亡の事実を知った日から7日以内に、市町村役場へ死亡届の提出を行います。
死亡診断書とセットになっており、記入、押印が必要です。
届け出に関して葬儀社へ代行依頼する事も出来ます。
・火葬または土葬
埋葬方法については火葬か土葬と決められています。
土葬は決められたごく一部の地域のみとなるので、ほとんどの地域では火葬による埋葬です。
火葬のみや葬儀を行わないという選択肢で出てくるメリット
一般葬を行わず直葬のみを行った場合、以下の違いが出てきます。
費用が大幅におさえられる
一般葬では200万程度の費用がかかる場合が多いですが、直葬の場合は火葬のみとなりますので、20万円前後となる点を考えると大幅に費用は抑える事が出来るようになります。
遺族がお別れの時間をとることができる
火葬のみの場合でも亡くなった後の24時間は火葬や埋葬は行えません。
そして通夜や告別式を行わない分、ご遺族の方々にとってはお別れの時間を充分とることができます。
かかる日数も少なくなり、遺族の負担軽減にもなる
通夜や告別式を行わない分、弔問客への対応も少なくなります。
そして火葬前のお別れの際もごく親しい友人や親族のみで行う事になるので、遺族の人にとっても心労の負担軽減になる場合が多いです。
特に高齢の遺族がいらっしゃる場合、一般葬に比べ葬儀にかかる日数が1日減りますので、体力的な負担も軽減できます。
一般葬を行わない事で出てくるデメリットもあります
葬儀を行わないという選択肢はメリットもある一方、以下のようなデメリットが生じる場合もあります。
葬儀を行わないという選択肢に違和感を感じる・反対する人がいる
葬儀を行っておくりだすのが一般的だと感じている人も多いです。
葬儀の選択肢も多様化しているとはいえ、まだまだ一般葬を行うべきという意見の人もいます。
親族で反対される人もいるかもしれませんし、故人と親しかった友人や知人、仕事の同僚の方にとってもお別れをする時間が取れないという点で残念に思う人も出てくるかもしれません。
ご遺体の安置場所を確保する必要が出てくる
通常、一般葬を行う際のご遺体安置は葬儀社が行ってくれるのですが、火葬のみを希望した場合、ご遺体の安置は対応していないという場合もあります。
その時は自分で安置場所を探し、手配する必要が出てくると考えましょう。
葬儀を行わない事により後で弔問客が訪れる可能性があります
葬儀を行わずに直葬を行う際は、後から亡くなった事を知った人が弔問に訪れる可能性があります。
突然訪れた場合は充分な準備もままならないまま対応する事もあるかもしれません。
菩提寺が管理しているお墓への納骨は出来ない場合が多い
代々、お付き合いしている菩提寺さんがあるようでしたら注意してください。
葬儀を行わない、つまり読経を行っていないといった理由により、菩提寺への納骨は出来なくなる場合が多いです。
そのため、一般の納骨堂に収める方法で検討する事になります。
葬儀を行わないという選択肢をする際に知っておきたい事
火葬のみを行う場合、以下の点も理解しておくといざという時に対応しやすくなります。
本人が意思表示しておく
葬儀を行わない、火葬のみでおくりだすという方法は故人が生前希望していたからという理由で行われている例も多いです。
もし、葬儀を行わないでほしい、火葬のみにしてほしいと考えているようであれば、生前の段階で意思表示をしておくと良いでしょう。
家族に伝えておく、日記に記しておく、手紙を書いておく、遺言状に記載するという方法で伝える事も可能です。
葬儀社に相談しておく
葬儀を行わないという選択肢だったとしても、ご遺体の搬送や納棺、火葬場の手配を行う必要がありますので、葬儀社へ依頼をする事になります。
最近は直葬を行う人も増えつつあるのですが、葬儀社の中には直葬は対応していないという場合もありますので事前に確認をとるようにしておきましょう。
中には生前の段階で、ご本人が直葬の依頼を葬儀社に相談するという例も出てきています。
その際に注意しておきたいのはご家族がその事を知っているかどうかです。
伝えておかないと遺族の方で別の葬儀会社を手配するといったトラブルにつながる可能性もあります。
生前に葬儀社に相談する場合は、ご家族に伝えた上で話を進めていくようにしましょう。
参列者について
火葬のみでおくりだす場合は、火葬場などあまり広さがないため、参列者の数が限られてきます。
親族やごく親しかった友人・知人・同僚のみとなる場合が多いです。
もし伺いたいという人がいた場合は、火葬前や拾骨後いずれかに来ていただくという方法をとります。
香典について
香典を受け取るかどうするかは一般的に喪主が判断します。
家族葬や火葬のみという選択肢をしている場合、香典を辞退しているケースも多いです。
もし香典を受け取る場合は、一般葬と同様に半額程度の香典返しをする必要があります。
初七日はどうするのか
一般葬では火葬後に初七日を繰り上げて行う場合が多いですが、火葬のみという場合でも希望があれば初七日を行う事は可能です。
一般的に火葬後は収骨を行い解散となる場合が多いですが、葬儀社やお寺さんに相談する事で火葬後の初七日を行う例もあります。
ご希望がある場合は相談してみると良いでしょう。
葬儀を希望しない遺言があった場合はどうするべきか?
故人が遺言で葬儀を希望していないという場合、故人の遺志としてそのまま葬儀を行わないという選択肢をする遺族もいます。
ただ、遺言をそのまま守らなくてはいけないという決まりがある訳ではなく、最終的には遺族の意思で判断する事も可能です。
ご遺族間でどうするか話し合って決める事になります。
まとめ
火葬のみで葬儀を行わないという選択肢を実際にした人は、費用や遺族の心労、体力面の負担軽減にもなり、故人とお別れをする時間も充分取れたので良かったと感じている人もいます。
その一方でシンプル過ぎてこの決断で良かったのだろうかと思う人もいるようです。
メリットもある一方、納骨に関する問題や親族からの反対や違和感が出てくる場合もあります。
火葬のみという選択肢を事前に希望しておく、意思表示をしておくという方法で直葬を行っている例もありますので参考にしてみてください。
葬儀を行わない場合、どのような事が考えられるかを理解した上で検討してみましょう。